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アフターコロナ時代に世界を革命する技術

 時代は変わってしまった。いや変わる瞬間を目の当たりにしている。
 プライバシーや自由より、命を守るために国家による抑圧を受け入れる、そういう世界観がやってくる。それを受け入れるかどうか、コロナを前に日本人はその選択を迫られるのであろう。

 しかしこのような二元論的な考え方は思考停止のようなものだろう。このような時にルールを書き換えて世界を革命できるのがテクノロジーの力である。

 外に出ることもままならなく少しストレスがちなので、今日は思いっきり夢の世界を語ってみよう。

マイナンバーカードにすべてをリンクさせる

 マイナンバーに住所を含め、あらゆる行政情報がリンクされていれば、国民一人当たり10万円の支給、あるいは世帯ごとに30万円の支給、どちらももっと簡単にできたであろう。
 あるいはマスクの購入を一人10枚までに限定し、どの薬局で買おうがメルカリで購入しようが10枚以上買うことはできない、という政策も可能であっただろう。
 さらにいえば、陽性反応のあった人のスマホの位置情報を自動的にトラックされ、陽性の人が近くにいるとアラームが鳴るようなアプリも登場したであろう。

 オーウェンの1984の世界だ。平時であれば国民の反対で口にすることさえ許されないであろうが、今なら言える。

 これが実現されれば、もっともっと効率的な防疫が可能であろう。世界では同じようなことを実現している国があり、実際に防疫に成功している。
 しかし皮肉なことに欧米を中心とした先進国は、自由と個人の権利を高々にうたっており、国家はこのような効果的な防疫ができずにいる、そして結果は皆さんが知っての通りだ。

 アフターコロナでは世界の価値観が変わって、自由と個人の権利は制限されていくしかないのだろうか。

政治とテクノロジー

 抑圧か自由か。公共か個人か。そういった対立軸で今後大きな議論が起きるだろう。しかし我々は技術によってこの状況を変えることができることを忘れてはいけない。

 別に政府も抑圧を行いたいわけではない、防疫のために必要な個人情報を大々的に集めて、運用しなければならないだけだ。そのためにはマイナンバーと関連データをリンクさせることが有効なだけだ。

 それ自身が問題なのではない。要はデータを中央が牛耳ることが問題なのだ。それだと政府が抑圧しようと思えばできてしまうし、その情報にアクセスできる公務員に悪意があれば情報は漏れてしまう。どんな組織にも悪い人はいるものだし、セキュリティ技術により漏洩を完全に防ぐことはできない。

 だから自由と個人を大事にする世界観のもとでは、なかなかデータの統合が進まない。IT 畑の人間にとっては非常にめんどくさいことだが、これはそれだけプライバシーや自由を重視しているということだ。日本人として誇っていいことだと思う。

 さてこれは避けようのない対立なのであろうか。もちろん違う。対立をどちらかの勝利で解決するのが政治の仕事だとしたら、テクノロジーの仕事は対立そのものをなくしてしまうことだ。ではその解決策を提示しよう。

ブロックチェーンID

 それはブロックチェーン ID だ。
 ブロックチェーン ID とはマイナンバーをブロックチェーンに乗せるだけの話ではない。先ほど説明した一番重要なこと、つまり ブロックチェーンID にあらゆるデータを紐付けさせることである。

 まず情報をすべてブロックチェーンに記録するだけで、明確なメリットが一つ生まれる。それは誰も改ざんできなくなるということだ。
 映画やアニメで描かれる監視社会のディストピアでは、体制側がデータをいじることで主人公に理不尽な不利益を与える。ブロックチェーンではそれができない。体制側でさえ数学的な原理は覆すことができないからだ。

 私はブロックチェーンの仕組みを「これって物理法則みたいなもんだな」とよく考えることがある。そうなのだ、ブロックチェーンではあらゆる物体が光の速度を超えることができないのと同じように、「物理的に」データを改ざんすることが不可能なのだ。

 しかしもちろんこれでは何も解決できていない。改ざんは防げても、その情報をもとに抑圧を強めることは防げないからだ。
 「識別コード AYH-7826647 通称パンダ、あなたの有害図書の閲覧履歴から犯罪係数120と推定。エリミネーター始動・・・」
 こっちのシナリオのほうがよほど怖い。Webの閲覧履歴から、位置情報の記録、それと公的な住所や金融資産がリンクされ、それこそどこでマスクを買ったのかを監視される社会、それが冒頭にも触れたディストピアの世界だ。

デジタルな仮面

 この二律背反に抜け道はあるのだろうか。
 もちろんある、それは ID マスカレードと呼んでいる手法だ。

 ビットコインでは同じアドレスを使いまわさず、毎回新しいアドレスを使用することが推奨されている。これはアドレスと個人の紐付けを困難にして、アドレスに色がついてしまうことを防ぐためである。

 これも ID マスカレードの一種であろう。しかしビットコインではこの手法を使ってもアドレス間の関係はちゃんと追っていくことができるので、ハッキングで流出したコインは結局追跡することができる。 

 私が言っているのはこのような中途半端なマスカレードではなく、ID の所有者が望まない限り完全にトラックできない形の ID マスカレードだ。
 つまり私の住所氏名と金融資産、そしてスマホの移動履歴、Webの閲覧履歴はすべて別々の ID でブロックチェーンに保存される。
 私が望んだ時だけ、実はその二つのIDがリンクしていることを証明できる。そのような手法のことである。

 これなら当局も私に黙って私の閲覧履歴を覗き見ることはできない。その閲覧履歴と住所氏名の ID を結びつけることができないので、有害図書を閲覧している人がいることはわかっても、それが私だとは全く気づけない。

 ID は好きなだけ増やすことができるので極端な話Webページごとに別々のID を使っても構わない。全部覚えておくのは手間がかかるが、どうせ一生に見ることのできるページ数など数メガバイトに収まるだろう。

 これはちょうどいい落としどころじゃないかと思う。
 今回のような緊急事態となれば多くの人が必要な部分の情報を公開することに賛成してくれるだろう。不倫などでどうしても隠したい位置情報は隠してしまえばいい。(前述したように毎回違う ID を使っている場合に限るが)

 納税と住民票、免許証などの ID も変えてしまっていいだろう。そうしてしまえば行政が勝手にのぞき見することはできなくなる。代わりに個人の同意がある時だけ必要な情報の結びつきを得ることができ、今回のような緊急での現金給付などを迅速に行うことができよう。

まとめ

 ミーティングもすべてモニター越しに行うようになり、そしてそれに慣れてきている自分がいる。これはコロナが収束しても、従来の価値観にはもう戻れないだろう。

 ウイルスの危険が去っても「これリアルで会う必要ある?」という問いがいることろでされるようになるのだろう。選挙もオンラインでできるようになる日も思いのほか早くやってくるかもしれない。

 ブロックチェーンは間違いなくそれを支えるテクノロジーであろう。改ざんできない、という特徴はそれほど画期的だ。
 しかし同時に今回述べた問題にいやおうなく直面しなくてはならない。情報がすべてデジタル化される世界で、それを同じ ID に紐付けることはものすごく有益だし、同時にものすごく危険でもある。

 それを価値観の戦争にしてはいけない、テクノロジーには中庸をかなえる力があるのだから、我々技術者はそれを提案していこう。

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