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DAOのガバナンスと報酬設計~Gitcoin DAO/Optimism Collective/CityDAOから学び日本のローカルDAOへの活用を考える~

DAOのよい点と難しい点

「DAO」はDecentralized Autonomous Organization、自律分散型組織のこと、と一般的には定義されています。理想像として全ての決められた機能がスマートコントラクトで動き、人がいなくてもまわる仕組みというように語られますが、足許の実態としては、同じFTやNFTを保有し、共通の目的のために集まった人たちがDiscordや独自プラットフォームでわいわいしてる状況、という方が近いのではないでしょうか。この時点でなんだサークルかよ、という反応をし、興味を失ってしまう人が多いです。
しかしそんな「DAO」ですが私自身が実際に所属しているDAO(ローカル DAO)を通じて、二つの側面でとても大きな可能性を感じています。
①「株式会社」の形じゃない組織を通じて社会に大きなインパクトを与えられる
②家庭でも会社でもないけど共通点を持った人たちがいるコミュニティにゆるく所属することでメンバーがハッピーになる

①の通り社会にインパクトを与えるということは何人かのメンバーが超働いているということを示しますが、「Discordでわいわいしているだけ」という状況では超働いたことに対する報酬が得られません。
私が所属しているDAOでも超貢献してくれた人が無報酬であることに苦言を呈したことがありました。実は苦言を呈してくれるのはまだ期待しているからで、おそらく多くのDAOではみんなが緩く失望して人がいなくなっているのでは、、、せっかく可能性がある仕組みなのでなんとかできないか、とグローバルの事例を調べてみた結果をこのnoteにまとめています。
結論、「ローカルDAO」にはまだ正解はないけど、これまでに成果をあげてきたDAOやVitalikとGlen Wyleが考えているデジタル公共財に対するアプローチを取り入れてすごいイケてるローカルDAOを作っていけるのではと思っています。(これらの仕組みを取り入れるだけで全部解決!とはならないですが)

注釈:こちらのnoteは特定のコインを推奨するものではありません。また、理解が間違っているところも多々ありそうなので、見つけられた方はご連絡いただけると嬉しいです!

海外のDAOのガバナンス事例

個人として参加しているローカルDAOについて話してほしいということで、4月にEthereum Tokyoのサイドイベント「Plurarity Tokyo」に呼んでもらえました。そこで台湾のDAOの運営者やPlurarity的な観点でEthereumに向き合っている人たちと知り合いました。で、落合渉吾さん、TakaさんなどにDAOの悩みをいろいろ相談したところ「それ、OptimismがOCでやってるね」とか「Gitcoinでもあるよね」「CityDAOのNFTの設計が参考になるかもね」と高速でアドバイスをいただき、それぞれ調べてみました。

Gitcoinの概要とガバナンス

Gitcoinは時価総額80億円程度(2023年6月11日時点)の暗号資産です。このコインは「寄付」のプログラムやハッカソンを開催してスポンサーする仕組みを通じて、この業界の発展に大きな役割を果たしてきました。
Gitcoin Grants Programとして、GitcoinのWebサイトに以下の解説があります。

Gitcoin Grants Programは、Gitcoin DAOが運営する四半期ごとの取り組みで、Web3を信じる人たちがが重要だと評価するものに向けて資金調達を推進できるようにし、Quadratic Funding(QF)という分配メカニズム(※これはあとで解説)を用いることで個人の寄付のインパクトを拡大させます。
Gitcoinのミッションは、オープンソースソフトウェア開発者をサポートし、資金を提供するためのより良いインセンティブを生み出すことで2017年に始まりました。ミッションはやがて、デジタル公共財の構築と維持へと固まっていきました。
2019年の1回目のラウンドでは、200人の寄付者と38kドルの資金を集めました。それ以来、四半期に1回、2週間のラウンドを実施しており、直近では15回目のラウンドで、総額440万ドルを助成団体に配布しました。1-15回のラウンドで、合計5,082万ドルが助成対象に配布されました。

Gitcoin Grants Programのウェブサイトより

ということで2019年からこれまでUS$50.8mm(70億円相当)がGitcoin Grants Programを通じてプロダクトやプロジェクトに寄付されてきたとのこと!
この寄付のプログラムは現在も続いていて、6月17日時点ではGitcoinのホームページにいくと、「Gitcoinシチズンの調達ラウンドその1:遡及的資金調達」というのを2023年6月27日までやっています。
このラウンドでは33個プロジェクトがあって何人が合計いくら寄付しているかがそれぞれのプロジェクトでリアルタイムに見ることができます。

2023年6月15日時点のGitcoin Citizens Round#1

過去にハッカソンやGrant Programを通じて資金調達を行ったプロジェクト、プログラムの事例はこちら
Uniswapや、WalletConnectなど今やweb3的経済圏には欠かせないプロダクト、いつもPodcast聞いているBANKLESSもあります。
※Uniswap:代表的な分散型取引所。AMMの仕組みを取り入れた
※WalletConnect:各Dappsからノンカストディアルウォレットに接続する仕組み
※BANKLESS:Crypto関連の代表的なMedia。いろんな人が語ってくれるPodcastが特におすすめ

Gitcoinを通じて資金調達したプロダクト/プロジェクト

ということで、「Gitcoin Grants Program」は多くのプロダクト、プロジェクトを生み出してきているわけですが、この仕組みはどのように運営されているのでしょうか?
実はこの仕組みは会社ではなく「GitcoinDAO」で運営されており、運営方針についてGitcoinDAOのガバナンスプラットフォームで日々議論されています。
こちらがGitcoinDAOのガバナンスプラットフォームです。DAOのガバナンスとビジョンに関する文章が一番上にあります。

左側にある「Proposal」の中身を見てみると、運営DAOを改善するための提案がたくさん並んでいます。「State of Web3 Grants Report」という提案の中身はこちら。

DAOに対する提案

提案の概要を日本語にすると
「このプロジェクトの目的は、助成金プログラムとその影響に関するレビューを行い、報告書を作成することです。データの収集と分析により、助成金プログラムに期待される効果、効果の測定方法、助成金プログラムの運用の性質、助成金プログラムを構成する人々が利用できるメカニズムに関する情報を収集することを目的としています。このプロジェクトの最終的なアウトプットは、一般に公開される報告書となる予定です。
この報告書の要求予算は、10週間で17,500ドル(245万円程度)です。」
つまり、これまでにGrantsでお金を拠出したプロジェクトがちゃんとやってるのか10週間でレポート書くから245万円くれよ!と言っています。
これにDAOのメンバーが投票し、可決されると提案者は予算をもらって仕事を始めるわけですね。10週間で245万円なので、DAOの報酬だけで生活していくこともうまくいったらできそうです。
この提案のページは非常に長く、この人がなんかすごいリサーチャーで物書きなんだなということが十分伝わってくるし、提案に対するコメントを読んでいるとこれまでこの人がGitcoin Grants Programの運営においてDAOで貢献してきており信頼されていることもわかります。
これはProposalの一例ですが、このほかにも、Gitcoin Grants Programをいかに運営し、よいプロジェクトをサポートしていくかが日々DAOのプラットフォーム、Discordで議論されています。

CityDAOの概要とガバナンス

CityDAOはアメリカワイオミング州のDAOです。ワイオミング州は2022年にDAOを法制化したことが有名で、CityDAOもワイオミング州でLLCとして登記されたDAOの一つです。
Wyoming州はDAOとしてワイオミング州の一区画(住所は50 hail Basin Rd. Powell, Whomingで40acres=161,874㎡、東京ドーム3.5個分の広さ)を購入しています。広大な山岳地帯の土地に見えます。

CityDAOが購入したワイオミング州の土地「PARCEL 0」

CityDAOのミッションはこちらのページに記載されています。「CityDAOのミッションは、未来のブロックチェーン・ネイティブ・ネットワーク・シティを構築することです。つまり、私たちはブロックチェーン上に構築された分散型都市、つまりDAOが所有するプロパティのネットワークを、私たちのコミュニティによって統合して構築するのです。」と書かれており、複数のリアルな土地を買って、ブロックチェーン上のコミュニティ=DAOで統治していく、的な構想に見えます。
CityDAOに関連するやりとりはDiscord上で行われており、Discordは誰でも入れますがCitizens限定Channelがあり、ここはCityDAO NFTを買った人しか入れなくなっています。
NFTは普通にOpenseaで買うことができ、ページはこちら。今までに4,425ETHの取引ボリュームがあり、4,917人のホルダーがいます。種類として、「CityDAO Citizen」と「CityDAO Founding Citizen」と「CityDAO First Citizen」があり、最後にトレードされた価格はそれぞれ0.07ETH、4.75ETH、39ETHになっています。ロイヤリティ10%なので、これまでの流通で少なくとも443ETH程度(1.1億円程度)はDAOに入っているのと、NFTのInitial Saleではもっと入っているのでこれが収入になって土地を買った、ということだと理解しています。

Openseaでの「CityDAO Citizenship」NFTのページ

このミッションを達成するためにCity DAOではいくつかの「Guild」が作られています。(「部会」的なやつですね)Design、Developement、Community、Legal、Education、Grants、Mediaの部会があります。

CityDAOの「Guild」のページ

機能を分けたチームを作ってその分野に専門性を持つ人たちが集まってくる、というのは色んな人が参加しやすくてよさそうです。しかし、各ギルドのページを見てみると、Design、Legal、Communityのページには成果物が格納されているものの、Grants Guildについては空白になっています。

勝手な推測ですが、Gitcoin Grantsのように購入した土地、もしくはこのDAOに対して貢献した人に対する報酬のプログラムを作るのがこの「Grants Guild」のはずだったものの、まだ十分に機能していないのではないでしょうか。
おそらく買った土地の人口が増えてかっこいい施設もできて、山間部に超いけてるCityができる、みたいなのをDAOの力で実現したいのではないかと思っているのですがまだそういう感じにはなっていなさそうに見えます。
GrantsプログラムができたらいろいろなプロジェクトがDAOメンバーから自発的に出てくるのかもしれません。

Optimism Collectiveの概要とガバナンス

OptimismはEthereumのLayer2のチェーンです。Layer2であるのに加えて、彼らもGitcoinと同様、プロジェクトへのGrantを行っており、運営も「DAO」的に行われガバナンストークンが使われています。
「Optimism Collective」というページでは彼らの考え方が以下のように述べられています。

公共財はわたしたちの社会の基礎です。
しかし、インセンティブ設計が適切になされないと資金不足に陥ることが多く、多くの企業が利益を得ることと公共の利益に資することのトレードオフを余儀なくされています。同じ問題がweb3の世界でも起きています。
OptimismとEthereumは公共財です。開かれたインターネットは全ての人のためのもので、これを維持するためにみんなの力が必要です。
Optimism Collectiveは公共財を作り出し、維持する人たちに適切に報酬を与えるための新しいモデルです。
オプティミズム・コレクティブは、企業、コミュニティ、市民からなる集まりで、フェアネス比率を守るために相互利益協定で結ばれています。
「インパクト=プロフィット」という考え方で運用されます。
Optimismのプロトコルは、大量の収益を生み出します。
オプティミズム・コレクティブは、この資金を共通の利益のために構築するプロジェクトやコミュニティに割り当てています。

コレクティブは、トークン・ハウスとシチズンズ・ハウスの2つのハウスから構成されています。これらのハウスは、長期的なビジョンと短期的なインセンティブのバランスを取ることを任務としています。
公共財に適切に報酬を与えることで、協働のエコシステムを構築し、それをどんどん成長させることができます
Optimism、Ethereum、オープンインターネットの持続可能な未来を創ります。

Optimism Collective ウェブサイトより
Optimism Collectiveのイメージ

つまり、L2であるOptimismのプロトコルの運営で儲かるので、そのお金を評価できる「デジタル公共財」に分配していこうぜ!ということと理解しました。
で、DAOで決定する事項の種類をふたつに分けて、「トークン・ハウス」、「シチズン・ハウス」というのでそれぞれ決めるようにしています。

「トークン・ハウス」はプロトコルのアップグレード、インフレ調整、毎回のラウンドの予算策定などを担当します。これはエアドロップされたOPトークンを使って投票する、ということでビットコインでも見られる「トークンガバナンス」に近そうです。

「シチズンズ・ハウス」については「非金権政治的なガバナンスと公共財の遡及的な資金調達に関する大規模な実験」という説明があり、こちらがOptimismのプロトコルで得た収益をどうやって公共財に分配するか、の部分です。
シチズンハウスの説明を読むと、
・オンチェーン上公共財的プロジェクトについて投票して資金の分配先を決める
・投票するのはシチズンハウスの評議員。評議員はトークンハウスの投票などで決まる(評議員には人数制限がある)
・資金分配を受けたいプロジェクトはフォーラムに登録する
・評議員がフォーラムに登録されたプロジェクトに投票し、資金の分配を決定
ということで、Gitcoin Grants Programに似ていますね。今までに2回投票は行われていて、2回目のラウンドの分配結果とそれぞれのプロジェクトの説明へのリンクはこちら
256,294OP(6月17日現在4,200万円程度)をもらっている2位のL2Beatというのは「教育」カテゴリで、イーサリアムのLayer2に特化した情報提供サイト。昔のDeFi Pulseみたいに最初にコントラクトにLockされたトークンのドル換算(TVL=Total Value Locked)が出てきます。
こういうのってたしかに「公共財」で今までだと広告掲載の形でしか収益化できなかったので非常によい取り組みに見えます。

L2Beatのトップページ

VitalikとGlen Wyleが考える三要素

Vitalikにはいろいろな評判がありますが、彼が書いたBlogを集めた本を読み、こちらにも書いた通り、ビットコインをワールドコンピューター的な発展をさせることでとてつもない可能性が生まれるのではないかと考えてEthereumを作ったものの、投機的な用途ばかり立ち上がることを悲しみ、公共財的な用途を次第に目指していった人ではないかなと個人的には捉えています。
Public Goods(公共財)的な観点でのEthereumのプロダクトを考えるときに、VitalikはGlen Wyle(経済学者。マイクロソフト首席研究員兼イェール大学客員研究員)を相方にしている印象があります。SBTのホワイトペーパーもVitalikとGlen Wyleの共著でした。
Glen Wyle、Vitalik、冒頭のPlurality Tokyoにもメッセージをよせてくれたオードリー・タンがボードメンバーを務めているのが「RadicalxChange」という団体です。RadicalxChangeは「デジタル・デモクラシー」によって多元主義を実現しようとしている、というのはGlen Wyleのインタビューとして、Wiredのこちらの記事に書かれています。

RadicalxChangeが「The Handbook for Radical Local Democracy」というペーパーを出しており、この中で「デジタル・デモクラシー」を実現する手法としてQuadratic VotingQuadratic FinanceSALSA(Self-Assessed License Sold via Auction)について説明されています。 
おお、英語か、、、と思っていたところ、Takaさんが日本語にしてくれました。

とてもよい資料なので、ぜひじっくり読んでいただきたいのですが、Quadratic Voting、Quadratic Financeについてはざっくりと先ほどのWIREDでGlenWyleが語っている以下の説明が端的でわかりやすいです。

QVでは、市民一人ひとりに一定量の「ボイスクレジット」が付与され、それを特定イシューに対する投票に使用します。票数当たりその2乗のボイスクレジットが必要で、ある候補者に1票だけ投じる場合は1クレジットの負担で済みますが、5票を投じたければ25クレジットを負担します。
ひとつの選択肢に多くの票を投じるコストが高いため、多数派に票が集中する構造を防ぎ、少数派にまで票が行きわたることで多様性をより促進できると考えています。また、QFはこの仕組みを応用して、集まる金額よりも貢献者の数を重視して資金調達や分配を最適化します。

前述のGitcoin Grants Programでも使われているこの仕組みはLocal DAOともすごく親和性がよさそうだなと感じます。

海外事例からの学びとローカルDAOで採用できそうな要素

では、これらを踏まえてわたしが今個人で関わっているLocal DAOにどのようなガバナンス、報酬設計が取り入れられるのでしょうか?
私が個人として参加しているLocal DAOは山古志DAOといって、2021年11月と2022年2月に売り出された「Nishikigoi NFT」を持っている1,050人程度の人たちの集まりです。山古志は新潟の山間の美しく、人口800人ほどの地域です。なぜこの地域がNFTを出したかというのはこちらの記事をどうぞ。

NishikigoiNFTホルダーは「デジタル村民」と呼ばれ、今までデジタル村民が自発的にいろんなプランを考えて遂行してきました。例えば・・・

などなど。
TVなどで紹介いただくことも多くありました。
が、今後DAOとして発展していく中で何が必要でどう進んでいけばよいのかを今ちょうど議論しており、必要なアイテムの中の一つが「ガバナンスと報酬制度」です。これまで紹介した事例からの学びを簡単にまとめます。

ギルドなのか評議会なのか

CityDAOはDAOの中に部会を作って法律チーム、財務チーム、広報チーム、ガバナンスチーム、技術チームと機能を分けて活動しています。
一方、GitcoinやOptimismは「評議員」制度で選ばれた人たちが運営を担っている印象です。
【山古志DAOでの応用】山古志DAOではすでにガバナンスチーム、運営組織チーム、技術チーム、資金計画チーム、事業計画チーム、資金計画チーム、事業計画チーム、広報・渉外チーム、ブリッジチーム にDiscordのChannelをわけて活動しています。デジタル村民は誰でも立候補して各チームに所属できます。
こうすると活動が進むチーム、そうでないチームが出てきたり、必要不可欠なチームが機能しなかったり、みたいなことが起きそうではありますが、DAOメンバーにとっての敷居の低さの観点からこの形でいったんやってみたいなという暗黙のコンセンサスがある気がしています。

Gitcoin Grants Program、Optimism CollectiveのRetroactive PGFの仕組み

Gitcoin Grants Program、Optimism Collectiveで採用されているRetroactive PGF(Public Goods Funding)、つまり「遡及的な公共財資金調達」は四半期に一度、当該DAOに関連したプロジェクトをエントリーして、投票できるメンバーが投票してQuadratic Fundingの形で四半期ごとの資金を分配する、というものです。
【山古志DAOでの応用】各四半期ごとに、デジタル村民の貢献をリストアップしみんなでQVの形で投票する、というのはできそうです。
ただし、山古志の場合はすごく収益があるわけではないので、NFTの売り上げを分配する、という形ではなく、オンチェーンのポイントを分配するという形にした方がよさそうだなと考えています。

Gitcoin DAOの予算付き提案の仕組み

GitcoinDAOにおいてはDAOの発展のための予算付きの提案が行われています。10週間で250万円くれたらこれやるけどどう?というやつですね。
【山古志DAOでの応用】これはGitcoinDAOについてはうまくいってきた歴史がありそうですが、この形でプロジェクトをやる人のモチベーションとして金銭的リターンが大きいことが想定されるので、山古志DAOで応用するためには大きな資金源が必要になりそうです。
※山古志DAOでは2022年2月に「デジタル村民総選挙」が行われ、山古志を盛り上げるプランをデジタル村民が考えてみんなで投票し、当選した4プランに0.75-1.5ETHが分配されるという試みがありました。
実はこれがGitcoinDAOの仕組みに近い気がしていますが、プロジェクトがうまく遂行できる蓋然性がわかりにくい(もしくは予算をもらうために実績が必要)、というのが継続する上では少し難しいところだなと感じました。2022年の総選挙で選ばれたプロジェクトはプロジェクトオーナーが皆がんばりうまくいきましたがこれってほんとはとてもレアなことですよね。

Local DAOにおける「リアルとデジタルの融合」

私は訪問vlog+Blogを作ったとき、雪下ろし講習にいったときも入れて昨年来もう5回山古志に行っています。本当に美しいところで、星も景色もきれいで、錦鯉たちも見れるし、Japanese闘牛である牛の角突きも面白いし、山菜そばはおいしいし、というのもありますが、リアルに住んでいらっしゃる方々がデジタル村民である自分を受け入れてくださっているのが自分がこの土地を大好きないちばんの理由かもしれません。

山古志虫亀地域 にこにこ広場からの景色

どうしても人口が減少し、高齢化が進む地域ですが、なんとかしてこの美しい地域を維持し、発展させていきたいという地域の方の必死な気持ちが、よそ者であるデジタル村民への寛容な態度を生み出しているのだと思います。

直近、2023年6月18-19の24時間で山古志に滞在ツアーにデジタル村民たちで行き、不眠不休でいろんな体験をし、いろんな方とお話をする中で、LocalDAOはやはりリアルの方がやりたいこと、困っていることにデジタルの力やマンパワーで貢献する、というのを主眼におくべきなんじゃないかな、と思いました。もちろん、デジタルならではの自由な発想はリアル村民の方もとても喜んでくださるし、今後も続けていきたいですが、リアル村民の方が全くつながりを感じられないDAOになってしまうと「Local DAO」としては何か違うのではないかな、と感じています。
今はこういった方向性を表現できるようなDAOのMVV(Mission Vision Value)をまず作ろう、という動きが山古志DAO内であります。海外でも存続しているDAOは明確なMVVがある、というのは共通点になっていそうです。

こういったリアル地域とのつながりがあるLocal DAOは世界でも珍しいので、リアル村民、デジタル村民の方とよく話しながら、ワークする仕組みを考えていきたいです。
私はいちDAOメンバーとして、国内外のDAOのうまくいってる仕組みについて研究してDAOの皆様に解説する役割はこれからもちゃんと果たしていけるようがんばります。
※ということで、これはもともと山古志DAOの皆様向けに書いていたのですが調べていてとても面白かったのでnoteにしました!

Japanese闘牛、牛の角突きで引き回しを行うデジタル村民。場内MCでご紹介いただきました。

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