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bitFlyer グループより新年のごあいさつ

明けましておめでとうございます。

CTO の小宮山と二人で創業した bitFlyer は2014 年 1 月の創業から 7 期目を迎え、お陰様でグループ全体として二百名超の社員を抱える国内最大の仮想通貨・ブロックチェーン事業者へと成長させていただきました。
2019 年は仮想通貨・ブロックチェーン業界に大きな変化があった年だと思います。国内は仮想通貨事業者が業務を再開し、2 年ぶりに新規仮想通貨を上場することができました。また多くの人が予想したように新規参入が増加し、同時に撤退する事業者も見られ業界再編が始まりました。その間ビットコインの価格は約2 倍になりました。

一時の仮想通貨ブームが一段落したことに加え、国内外のライセンス事業者は増大する内部管理コストのため大きく収益を減らし、人員削減のニュースも散見される厳しい状況となりました。また、海外のみならず日本でもハッキング事件が繰り返されたのは非常に残念です。ハッキング対策が業界の最重要課題であることは間違いありません。 bitFlyer は仮想通貨のセキュリティーガイドライン策定のために CGTF(Cryptoassets Governance Task Force)の立ち上げに加わり、当社の企業秘密であるシステム設計・セキュリティーの一部を共有し議論を重ねてきました。業界からハッキングがなくなることを心より願っております。


世界に目を向けると Libra は世界中で大きな注目を集めました。 Libra 協会がビジョンとして掲げる次世代の決済手段や金融包摂は強く共感するところもありますが、世界中の人々の信頼を勝ち取るためには既存の金融規制の遵守は避けて通れません。 G20 も開催され世界各国で仮想通貨のあるべき規制に関する議論が巻き起こりました。国際機関である FATF は、AML/CFT 対策として顧客情報を VASP(Virtual Asset Service Provider:仮想資産サービス提供者)間で確認するというトラベルルールを発表しました。今後、VASP はヨーロッパの GDPR を遵守しながらトラベルルールに準拠する方法を合意し運用する必要があります。


bitFlyer グループとしては新たに大きな一歩を踏み出すための 3 つの基盤づくりができた年になりました。


まず 1 つ目は世界に先駆け仮想通貨交換業者として巨額の投資を行い堅牢なガバナンス態勢を構築したことです。
会計監査・ IT 監査・分別管理監査・業務監査を柱とする内部監査部門は三線として社内監査を継続的に行います。リスク部門はマーケットリスク、当社の資本リスク及びレピュテーションリスク等を設計し評価しております。コンプライアンス部門は法令や自主規制団体である JVCEA の規則の遵守は勿論のこと、社内のコンプライアンス意識の成就に向けた研修や徹底した管理を行っております。そして新規仮想通貨の上場審査に委員会制度を導入し、社内規則と JVCEA 規則による公平なプロセスで審査が行われています。社員による新規上場仮想通貨の情報漏えいがないようにチャイニーズウォールを制定し、万が一の情報漏洩には厳格な罰則がある規則によって運営しております。内部統制を強化しグループ全体の権限管理や各会議体のプロセスの厳格化を図りました。本人確認は過去全ての本人確認を厳格なルールでやり直し、AML/CFT についての基準、入出金及び取引のモニタリングを厳格化いたしました。


取引所運営にもっとも重要な経営課題である IT セキュリティーについては、「セキュリティー・ファースト」のスローガンを掲げ積極的な投資を行いました。 bitFlyer は Sqreen 社の調査において世界で最もセキュリティーに優れた取引所に選ばれています。
bitFlyer は社会の公器である金融機関となるべく、お客様の資産保護を最重要視した内部管理体制強化に一丸となって取り組みました。その結果、昨年 7 月より新規口座開設の受付を再開することが出来ました。ご迷惑をおかけしましたお客様・関係者の皆様に改めて深くお詫び申し上げます。


2 つ目は、アメリカとヨーロッパに展開している仮想通貨取引所のサービス拡充が挙げられます。
私は bitFlyer USA の CEO、bitFlyer EUROPE の Chairman として海外ビジネスの立ち上げに注力し、昨年は販売所の上場仮想通貨を増やし、仮想通貨アプリ国内 No.1 である「bitFlyer ウォレット」も展開しました。お客様の利便性向上のためヨーロッパでのクレジットカード決済や、アメリカでは ACH という決済手段を導入いたしました。
bitFlyer は日米欧の三地域で仮想通貨交換業ライセンスを取得している世界で唯一の取引所としての優位性を武器に、2020 年はグローバルな施策を加速させていきます。ヨーロッパとアメリカのみならず、アジアの国のお客様にもサービスを展開していきます。具体的には上場仮想通貨の拡充や取引所のパフォーマンス向上及び UI/UX の刷新、グローバルでの板取引、新しい決済手段、セキュリティートークンや仮想通貨デリバティブ等に注力していきたいと考えております。


株式会社 bitFlyer Blockchain を設立したことが基盤づくりの 3 つ目です。
仮想通貨交換業とブロックチェーン事業を同時に営んでいた株式会社 bitFlyer より、迅速な意思決定とイノベーション分野へのリソース集中を図るべくブロックチェーン事業部門を分社化しました。住友商事株式会社様との「不動産賃貸契約プラットフォーム」の共同開発に向けた業務提携など、複数の新規事業を進めました。さらに、エンタープライズ向けブロックチェーンである「miyabi」のコア開発及びブロックチェーン ID 構想「bPassport」の開発を進め、これから訪れるブロックチェーン革命に向けた準備を着実に進めています。


さて、昨年は「ブロックチェーン元年」と呼ぶにふさわしい一年となりました。 Libra だけではなく、中国 CBDC(デジタル人民元)構想などのニュースも続き、多くの方がブロックチェーンという言葉を耳にした年だったのではないでしょうか。ブロックチェーンビジネスへの新規参入も大幅に増加し、仮想通貨がそうであったようにブロックチェーンも大きく成長する準備が着々と進んでいます。そして国際競争での優位性を失わないよう日本もブロックチェーンを国家戦略として真剣に考えるときが来たのかと感じております。


私は、ブロックチェーンが世界を大きく変えると信じ bitFlyer を創業しました。近い将来に単純で冗長な仕事はブロックチェーンや AI により代替され、人間的な創造的な仕事と幸せの追求に時間を使えるようになると考えています。また、ブロックチェーンにより個人の信頼や権利が担保されるようになり、現在よりも個人の頑張りが適切に評価され活躍する社会に変わっていくでしょう。


bitFlyer グループは「ブロックチェーンで世界を簡単に。」という創業時からのミッションの具現化に向け、社会的な課題をテクノロジーで解決し世界中の人々の生活をより便利にすべく社員一同「One Team, One Dream」を掲げ 2020 年も果敢に挑戦してまいります。
本年も bitFlyer グループを何卒よろしくお願いいたします。


bitFlyer グループ共同創業者
加納 裕三

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