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ワイブロに向き合ってちょっと疲れたのでドヤブロしたいと思います

 キノコと土管でワイブロの重要性を訴えたとおり、我々は日々ワイブロを考えてはお客様に提案している。

 しかしながらワイブロは難しいのだ。ブロックチェーンというもの抽象的で、顧客のメリットに直結しずらい。だから顧客メリットを出すには一つ二つひねることで、抽象的なブロックチェーンを具体的な何かに変換しなければならない。
 ところが逆説的に、それを行うには顧客側の業務知識が必要となる。しかも一般的な業務知識ではなく、その顧客に特化したことまで考えなければならないのがつらい。

 そこで今回はコロナを吹き飛ばす意味でも、少しさぼってみようと思う。顧客のためにワイブロを考えるのではく、ブロックチェーンてこんなことできるよ!凄いでしょ!とドヤることで、顧客自身に考えてもらおう、というわけだ。
 何しろ業務知識は顧客のほうがたくさん持っているし、正確なのだ。わざわざ我々がそこを考えなくてもいいだろう。それに人は自分自身で考えたアイデアは愛着がわくものだ。顧客自身のアイデアなら、プロジェクトの進行もスムーズにいくに違いない。

 またドヤることで逆に何がブロックチェーンに向いていないのかもわかるだろう。ドヤってないことはあえてブロックチェーンでやらなくてもいい。そういうものだ。

 ちなみにコロナと全く関係ないことは先に謝っておく。

ドヤ!① トークンを扱う場合

 まずドヤりたいのは、みなさんご存じトークンのユースケースだ。

 仮想通貨をはじめとし、ST(セキュリティトークン)、ステーブルコイン、ユーティリティコイン、あるいは NFT(ノンファンジブルトークン)といったトークン系はブロックチェーンの最も得意とするフィールドである。

 いまや町の商店街でさえポイントシステムを導入している。仮想通貨はもとより、ST も法的な整備が進んでいる。金融文脈は大金が動くしデジタル化しやすいので法律さえ整えば非常にブロックチェーンに向いているといえるだろう。

 なぜならトークンシステムには高い信頼性やハッキング耐性が求められるからだ。もちろん、そういったシステムを作ることは従来のシステムでもできる。当たり前だが銀行システムもブロックチェーンを使わずに構築されている。(今のところは)
 しかしキノコと土管でも説明したが、従来システムで信頼性やハッキング耐性のあるシステムの構築にはコストがかかる。そして構築以上に拡張にコストがかかる。銀行と接続するシステムをやったことがある人はうなずいてくれることだろう。

 ブロックチェーンはそういった銀行レベルの信頼性をもつトークンシステムを簡単に構築することができる。miyabi などはブロックチェーンの機能としてトークンを扱うための仕組みを持っている。他のブロックチェーン製品でも、RDB ベースでトークンシステムを作るよりは、はるかに簡単にトークンシステムを構築できるだろう。

 しかも信頼性やハッキング耐性の割には安価に構築することができる。ブロックチェーンは基本的に複数ノードを立てるわけで、小さなシステムの場合には決して安価とは言えないが、信頼性を求められるシステムとしてみれば安価に構成できるのだ。

 さらに有利な点が仮想通貨における成功の実績である。よく言われるがビットコインは開闢以来12年以上一度も落ちたことがない。そしてビットコインの時価総額は10兆を超えている。こんなすごいシステムがビットコインだけでなくゴロゴロしているのだ。ブロックチェーンの導入を検討するには十分な実績といえるだろう。

 どうだろう?あなたのシステムがトークンを扱うのであればブロックチェーンを使わないのはなぜだ?(ドヤァ)

ドヤ

ドヤ!② 改ざん不能データベースとして

 モリカケ、サクラと政治の世界では情報の隠ぺいや改ざんが問題になった。考えてみよう、もし公文書がすべてブロックチェーンに保存されるのなら、それは絶対に改ざんや隠ぺいをすることはできなくなる。そんな日がいつか来るのかもしれない。

 もちろん公文書でなくとも、通常文書というものは改ざんされては困るものだ。当然隠蔽されても困る。これには契約書だったり、法定帳簿のようなものが含まれるだろう。
 先ほどと同じように改ざんされない、隠蔽されない、といったシステムをブロックチェーンを使わずに作成することは可能だ。しかしブロックチェーンなら、それをもっと簡単に、もっと完璧に構築できる。

 改ざん耐性はブロックチェーンのオハコなのだ。しかし改ざんという言葉にはいくつかの意味が混じっている。ここで改ざん耐性を少し詳しく説明してみよう。

1、その文書がブロックチェーンに登録されたときから 1 ビットたりとも書き換わっていないこと
2、その文書が登録者により確実に登録されていること。つまり内容は登録者が納得しているということ
3、その文書がブロックチェーンに記載されている時刻に間違いなく登録されており、それより後からねつ造されたものではないこと
4、その文書が一度登録されたらブロックチェーンから消すことはできないこと、つまり隠ぺいすることができないこと

 これらのことがすべて改ざん耐性、という言葉の中に含まれている。どうだろう、これだけのことを実現するシステムを構築するのは大変だと思わないだろうか?
 ところがブロックチェーンなら簡単に構築できる。しかもこの用途の場合通常問題になるパフォーマンス問題に簡単に回答が見つかる。データを単一のチェーンに入れずに複数のチェーンに分散して登録すればいいのだ。データを変更することが目的ではないのだから、単一のチェーンでデータ間の整合性のようなものを考えなくていいのだ。結果容易にスケーラビリティを実現できる。
 またアンカリングという手法でプライベートチェーンであっても、定期的にパブリックチェーンに足跡を残すことで、ビットコインなどの改ざん耐性と同じレベルの改ざん耐性を手に入れることができる。

 どうだろう?絶対に書き換えることができないデータベースが、手伸ばせば手に入るのだ。ブロックチェーンを使うしかないだろう?(ドヤ!)

ドヤ!③ コンソーシアム

 業界内で共同して行うプロジェクト、というのは意外と多くあるのではないだろうか?
 仮想通貨交換業でも JVCEA という業界団体があり、様々なことを議論している。その中には一緒に何かをやるという試みもある。

 しかしそのような場合でも、システム化まで話が進むことはまれではないだろうか。
 たいていの場合はメールなどを使ってマニュアル運用をしたり、ひどい場合は紙ベースで運用しているかもしれない。
 システム化に至らないのには様々な理由があるだろうが、大きな理由の一つとして、「誰がシステムを運用するのか」というのがあるのは間違いないだろう。

 これはシステム運用費を誰が払うのか、誰が開発するのか、といった金銭的な問題だけではない。むしろ金銭的なことはあまり問題ならず、どちらかというと、情報がその会社にだけ存在することに対する拒否反応のほうが大きいと思う。あるいはその企業のシステムがダウンしているときには、データにアクセスできなくなるわけで、そのような他社に依存するようなことを許容できない、ということもあろう。

 参加者の中に明らかにリーダーと呼べる企業がいるなら、その企業が運営することも可能であろうが、そうでない場合や、各社のプライドや判断によっては、運営者を決めることが困難だ。

 そんな場合におススメなのがブロックチェーンである。(ドヤ!)

 ブロックチェーンでは同じ情報を複数のノードで持ち合うことが可能だ。データを持ち合うだけでなく、データの処理についても各ノードでそれぞれ処理するため、いわゆるリコンサイルを常に行っているのと同じになる。

 この特性により各企業はあたかも自分がリーダーになりデータを処理しているのと同じになり、他の企業に処理結果を問い合わせなくてよくなる。処理の入力となるトランザクションは、コンセンサスアルゴリズムによりすべてのノードが同じものを処理していることが保証される。だから明示的なリーダーがいなくても処理を続けることができる。

 これは非常に民主的な運営といえよう。考えてみてほしい。同じようなことを行うシステムを開発するとしたらどれだけ面倒になるか。しかしブロックチェーンはこの素晴らしい特徴を最初から備えているのだ。
 さらにうれしい特徴がある。それは複数のノードがあることで自動的に冗長化されているということだ。
 1つのノードがダウンしたくらいではブロックチェーンは止まらない。他のノードだけで処理を続けることができる。そのうえダウンしたノードが復帰した時には自動的にキャッチアップ処理が行われる。
 この自動復旧という機能がブロックチェーンの可用性を高めているのだ。

 どうだろう?ブロックチェーン、使ってみませんか?(ドヤ)

ドヤ!④ スマートコントラクトプラットフォーム

 実はブロックチェーンには他にもおいしい部位がある。あまり人気はないかもしれないが、食べると非常においしい部位である。それはスマートコントラクトだ。

 スマートコントラクトといえばストアードプロシージャーのようなもの、プログラムを自動的に実行させるもの、と思っている人は多いだろう。それはもちろん正しい見方なのであるが、スマートコントラクトにはもう一つの側面がある。

 それは名前通りの側面で、まさに契約を記述し、強制執行させるという側面である。
 商行為における契約は法的に強制力を持ち、裁判所を通して強制執行させることができる。契約を結ぶとき最後には裁判所が何とかしてくることを信じて契約を結ぶ。
 あるいは仮想通貨取引所における売買契約は、例えばビットフライヤーのシステムによって強制力を持たされている。そのためには顧客は売買用の資産をビットフライヤーに預けることになっており、それにより強制力が働く。そしてビットフライヤーを信じることによって、その契約が公正に執行されることを期待する。

 これらの例はどちらも大きな権力を持つ公正な第三者の存在を仮定していることに注意しよう。

 ブロックチェーンにおけるスマートコントラクトと、資産のトークン化はこの状況を一変してしまう可能性がある。
 スマートコントラクトは誰でも確認でき、必ずプログラム通りに実行される。そしてトークンがブロックチェーン化されているなら、トークンに関する執行も自動的にかつ強制的に行われる。

 どうだろう?これは新しいビジネスのにおいがしないだろうか?(ドヤドヤ!)

ビジネスとテクノロジー

 ワイブロが難しいのは、結局ブロックチェーンが難しいからだ。ブロックチェーンの技術的な理解が必要だからだ。
 だからビジネス側とテクノロジー側がお互いのことを理解しあわないといけない。これがビジネスとテクノロジーの融合というやつだ。今風に言えば BizTech とでもいっておこうか。

 ワイブロはこの融合を我々の中でやり、それを顧客に説明するという行為るといえよう。
 それに対してドヤブロはこの融合をお客様に丸投げする行為といえよう。別に楽をするためではない(もちろん楽になるかもしれないが)、何よりもお客様にブロックチェーンの魅力を知ってもうためだ。

 思い付きで書き始めたエントリーであったが、意外と重要な気づきになったのではないかと思う。

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