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シーゲルのパラドックス

今回の株の確率・統計の問題が話題になったのでNoteにしました。「株は買うだけで無限に儲かるのか?」をテーマにします。


(私の想定する前提条件において)答えは150円です。前提条件が曖昧でしたね。(とはいえ、教科書どおりのまあ無難な想定だと思いますが)

・幾何ブラウン運動におけるドリフト項はゼロです。期待収益率が0の株とはなんだとなりますが、確率の問題ということで
・積分の件は忘れてください
・50/200戦法:100円の株を50円になったら損切りして、200円になったら利確するストラテジー
・株価の変化率は対数正規分布に従う


もちろん、実際の市場は対数正規分布に従いません。(以下参照)今回は、確率統計の問題なので範囲外とします。(これはこれで面白いので別途説明しても良いですが。)


しゃしゃしゃしゃさんの纏めはその通りだと思います。

無限にお金があるだけで50/200戦法の期待値はプラスになります。無限の時間があると期待値は無限に発散していきます。



期待値がプラスであることは数学的に決まっています。なので売ったり買ったりする必要すらないです。「今回の前提」では、株は持ってるだけで無限に儲かるという結論!!になります。


別の問題を考えました。

コインをフリップします。裏がでたら2倍になり、表が出たら半分になります。このゲームをやりますか?


これも同じで期待値が無限大です。お金が無限にあるならやります。

永遠にナンピンできます。収益の期待値はいくらでしょうか?

これも無限大ですよね。マリオの無限増殖のようで一瞬ビビりましたが(笑)よく考えたら、期待値無限大のゲームはいくらでも有りました。

むしろお金が無限にある想定なら、ゲームすらやらなくていいですよねw

対数正規分布における株価は光宗さんがシミュレーションしてくれました。確かに50円と200円の確率が半分になってそうですね。



株価は有限であるという制約条件

では、なぜ直感と反するのでしょうか?何が問題かというと、お金が無限にあること(時間が無限にあること)と、株価が無限の値を取れることかと思います。

「株は無限の値を取れない。」と制約条件を入れると期待値は1(重要!!)に収束するのではないかと考えています。(誰か数学的に証明してほしい)無限に近い株価が期待値の寄与度が大きいと思います。株価は東証のシステム的には無限の値は取れませんが、制約する法律はないので理論上は無限にいけます。(その前に株式分割するでしょうが)

※50/200戦法は無限に儲かるわけではないので、真似しないでくださいね

引き続き現実世界に魔法はないと思ってます。(残念)

期待値ボーナス効果

T.Aさんが期待値ボーナス効果と呼んでいます。平均0で分散σ ^2のものを正規分布N(0,σ^2)と呼びます。平均は0です。一方対数正規分布の平均はexp{(σ^2)/2}なのでσ(ボラティリティー)の関数で正の値をとります。


値動きが激しいほど期待値があがります。なんで対数正規分布なのかというと、株価は0以下になれないという制約条件を表現するために採用されたのかと。正規分布だとマイナスになってしまうので。

シーゲルのパラドックス

ドル円といった為替(ゼロサムゲーム)で考えてもパラドックスが生じます。ゼロサムゲームなのに、ドルを主語にするアメリカ人と円を主語にする日本人の両者の期待値がプラスになってしまいます。これは数学的には正しいが、実際のマーケットには暗黙の制約条件があるので成立しないと考えています。



まとめ

今回の

【問題】いま100円の株があります。この株が150円になる確率と50円になる確率はどちらが高いでしょうか?

の答えは150円なのですが、(50/200戦法の)期待値は無限大です。

トレーダーの経験が邪魔をして、「無限に儲かる」みたいな状況はないとバイアスがかかっていました。(そんなものがあったら、すでにやっている)ただ数学的には50/200戦法は無限に儲かります。株価は無限の値を取らないといった制約条件をたった一つ入れるだけで崩壊しますが。

実際のマーケットはその他の条件の方が圧倒的に大きな影響を与えるので、多くの教科書で使われている「株価の変化率は対数正規分布に従う」という想定だと期待値が無限大になるという数学的事実を活用できるかは不明ですが、背景にある理論を学ぶことは取引する上で重要だと思います。






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