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Bitcoinが法定通貨になったエルサルバドルの今(4日後、2021年9月11日時点)

2021年9月7日、エルサルバドルでビットコインを法定通貨とする「ビットコイン法」と呼ばれる法律が施行されました。6月8日に国会で可決された90日後に施行ということですね。
もともとエルサルバドルの法定通貨は米ドルだったのですが、これにビットコインが加わった形で、店舗などにはビットコインの受け取りが義務付けられます。

法律施行後ビットコインがどう使われているかなど今の状況についてTwitterのTimelineに流れてきたので以下にまとめます。

店舗でのビットコイン支払い

エルサルバドルの首都、サンサルバドルのマクドナルドでは9月7日の朝からビットコインで(Lightning invoiceの形で)支払いできたようです。Lightning WalletでこのQRコードを読み込んでの支払いになると思われます。※Lightningについての説明noteは最後にリンクつけます。

PizzahutでもBitcoin決済が使える模様。

スタバでもビットコインで支払えるようです。Lighitning払いなのでネットワークフィーがほぼゼロです。

マクドナルド、ピザハット、スタバなどグローバル企業は対応できたよね・・・しかし地元の個人商店は?と思いきや
国内のオフィス用品屋さんでもビットコイン支払いが可能とのこと。

地元のピザ屋さんでもビットコイン払いが可能。

Walmartではまだビットコイン払いを受け付けていないとのことなので、当然まだ普及率100%ではないようです。支払い受け付けは義務とのことなので近いうちに(ほぼ)100%の店舗でビットコイン払い可能になるのでしょうか?
個人的には店舗側の負担がQRコード印刷して置いておくだけ(日本におけるPayPay方式)であれば普及は早いのかなと思います。

ChivoウォレットとビットコインATM

エルサルバドルの人たち向けに政府が「ChivoWallet」というビットコインウォレットアプリを配布しています。ダウンロードすると$30相当のビットコインがもらえるようです。アメリカのStrikeが開発に関わっていて、Lightning決済が可能なので手数料も超安いです。
9月7日0時から使えるようになり、当初はいろいろ不具合もあったようですが、1時ー6時の間にメンテを行ったりでエラーは修正されたとのこと。

これに加えて、9月7日を前にエルサルバドルには13台の「ビットコインATM」が設置されました。このATMに法定通貨を入れてビットコインに換えて携帯電話のビットコインウォレットにチャージできたり、逆にビットコインウォレットのビットコインを米ドルに換えてATMから米ドルを引き出したりできるようです。(ちなみに日本ではビットコインATMの事業者は暗号資産交換業の業登録が必要です。使う人のKYCも必要。という事情を受けて以前は都内で数台あったビットコインATMは今ではありません)
このATMは200台設置する目標とのこと。

実際に米ドルを引き出している様子の動画はこちら。

ビットコイン決済の影響

ビットコインが実際に決済に使われだした影響で面白いなと思ったのが、、、
①単位としてSATs(SATOSHI=1億分の1BTC)が使われだしたこと
実際の日常の支払いは数百円~数千円であることがほとんどなので、決済画面で0.00002155BTCと出てくるのは直感的に非常にわかりにくいです。
1ドル=2,155SATsの方が分かりやすい。将来的には決済においてはBTC単位よりSATs単位の方が主流になっていくのではないでしょうか。

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②Chivo以外の仮想通貨アプリも合わせて人気になっていること
エルサルバドルの金融系アプリの上位6個はすべて仮想通貨関連。$30相当のビットコインでアルトコインを物色したりする動きも出ていそうですね。

課題とこれから

エルサルバドルの国民が皆ビットコインの法定通貨化に賛成しているかというと全然そんなことはなく、調査では67%が反対だったようです。
これは現状維持バイアスも大きいだろうから1年後とかがどうなるか注目では。

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政府としてはわかりやすい動画を作ったり

ChivoウォレットとATMの使い方を教えてあげるスタッフを設置したりしているようです。

9月7日のエルサルバドルの新聞でも「BitcoinDay」という記事が一面に載り、おじいさんがこれを見て「学んで理解せねば」と言っていますが、多くの人がこのような状況なのではと思われます。

また、IMF(国際通貨基金)はビットコインを法定通貨とすることに反対しており、このレポートにあるようにエルサルバドルとIMFの融資交渉が破談→デフォルト懸念、は気にしなければならない点かと思います。

エルサルバドルは、IMFと10億ドルの融資交渉を現在進めている。ブケレ大統領がIMFの反対を押し切って、ビットコインの法制化を強行すれば、このIMFとの協議に悪影響が及ぶ可能性があるだろう。
エルサルバドルは現在深刻な財政危機に直面しており、政府債務総額はGDP比89%、2020年の財政赤字は同10.1%に達している。そして20億ドルの債務返済期限が2021年末に迫っているのである。IMFとの協議が難航すれば、デフォルト懸念が浮上し、金融市場は大きく混乱する可能性がある。

最後に、エルサルバドルでのビットコイン決済で使われているLightning Networkについての解説記事を載せておきます。

世の中的には賛否両論あるビットコインの法定通貨化ですが、この業界で働いている人間にとっては大きな出来事だったので、法施行から4日後、9月11日の状況を記録しておきました。

エルサルバドルにいってビーチでジントニックをビットコイン決済しつつ本を読み続けるのがしたい・・・!

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