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大ブームだけど「所有権」ではないNFT、寄付での可能性と今後の課題

世の中のNFTブーム

ブロックチェーン界隈にとどまらずNFTについて騒がれだしたのは、2020年12月にジャック・ドーシーが彼の最初のTweetをNFT化して売り出した(Valuableというサービスを使って)、というものが最初だったように思います。これは2021年3月23日にUS$2.9mil相当で落札されています。

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3月11日に、BeepleというArtistのNFT Artが75億円で売れたというのも大きなニュースになりました。

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その後、Double Jump TokyoとSquare Enixが「ミリオンアーサー」IPを活用したNFTデジタルシールの販売・システム開発で協業するよ、と発表したり、GMOやLINEなどがNFTプラットフォームのローンチを発表したり

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また、米国でNBA Top Shotが大人気、というのもよく聞きました。
これはNBAのスーパープレーを短い動画にしていて、パッケージを買って袋を開けると動画が出てくる・・・というようなUXになっています。若干ガチャの要素もありNBAファンたちの間で大人気になりました。デジタルパッケージ開封の儀をYoutubeで生中継している人もいました。

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個人的にはThe Weekend(日本でいうと米津玄師的存在?)が新曲とビジュアルアート作品をNFTで販売したというニュースも気になりました。The Weekendは普通に音楽がかっこよくてグラミー賞の常連でもあり、クレバーな人という印象なので「うさん臭い人たちが錬金術に飛びついた」的ムーブメントとは少なくとも米国では一線を画せそうだな、と。GucciもNFTに参入、などファッション業界でもNFT=デジタルアイテムは注目されています。

とにかく体感では3月くらいから世界中で猫も杓子もNFT状態が続いています。

日本法上の「NFT」の取り扱い

そもそもNFT(Non Fungible Token)とはなんでしょうか。
Fungible、というのは代替可能性がある、Aさんが持っている一万円札とBさんが持っている一万円札を区別しない、ということです。
NFT(Non-Fungible Token)は、一般的には代替可能性のないブロックチェーン上で発行されるデジタルトークンのことを指します。
本来、デジタルなデータは無料かつ容易にコピーできるものの、NFTはブロックチェーン技術を利用し、唯一無二のユニークなデータの作成を可能にすることが革新的であると考えられています。つまり、NFTはデジタルデータの所有権を表すもの、と思われていることが多いです(わたしもそう思ってました)。
しかし、弁護士に確認してみると、日本法上はデータのような無体物に所有権は認められないと考えられており、「デジタル所有権」という権利も法定されていないため、法的には「NFT=所有権」とは言えないようです。この辺はAMTの長瀬先生たちのレポートに詳しいです。

BeepleのArtを落札した人は75億円相当のETHで一体何を買ったのか・・・現状言えるのは「BlockchainにOwnerとして記載されている」ということだけとのこと。

ゲームはある意味閉じた世界であり、そこでのルールは強制的に適用できるのでNFT化されたアイテムに実質的に所有権を紐づけさせることはできそうですが、現実世界ではあくまで「ブロックチェーン上に名前を書いた」だけです。落札する側との期待値の差がありそうだなあ、大丈夫なのかな、と思いつつ高額落札が散見されるRaribleやOpenseaなどのNFT Market Placeを眺めていました。

NFT×チャリティ、PleasureDAOについて①スノーデンNFT

2021年6月10日ー11日にかけてNFTのイベントNon Fungible Tokyoが開催されました。オンラインで2,000人ほどが視聴していたそうです。

主催者のMiss Bitcoin マイちゃんに呼んでもらいライゾマティクスの真鍋さん、BlockchainPROseedのAyatoさん、マイちゃんが語る「CryptoArtとSDGs」というセッションを聞かせていただきました。ここでマイちゃんが言っているNFT×チャリティについてこれはすごい!と思ったので紹介します。

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4月17日にこちら↓のエドワード・スノーデンさんが出品したNFT Art(「Stay Free」と呼ばれるスノーデンさんの署名入りのデジタルアートワークで、写真家プラトンにより撮影されたスノーデンさんの肖像写真を、NSAによる監視行為が違法であるという判決を下した判決文章で表現したもの)がPleasure DAOに約5億円(2,224ETH)で落札されました。

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落札者のPleasure DAOというのは名前の通りDAO(自律分散型組織)で、カルチャー的にインパクトのあるNFTを、複数人で資金を出し合って買い集め、共同で「所有」しています。

PleasureDAOは元々は、Uniswap v3の動画をデザインしたアーティストpplpleasr氏が、動画をNFTにしたことをきっかけに、Pooltogetherの創業者が「DAOを作って、このNFTに共同入札したい人いる?」とTwitter上で人を募り、そこから自然に参加者が集まってTelegramグループができ、PleasrDAOができた、とClubhouseで語られていたとのこと。(Coffeeさんのブログより)

スノーデン氏は、このオークションで得た収益を自身が取締役を務めるFREEDOM OF THE PRESS FOUNDATIONに全額寄付するとしています。※FREEDOM OF THE PRESS FOUNDATION:言論の自由と報道の自由に資金を提供する2012年に設立された非営利団体。設立当初は、フリーのジャーナリスト組織のためのクラウドファンディングキャンペーンの管理を行っていましたが、最近はデジタルセキュリティサポートをする技術プロジェクトを推進している。(参考:wikipedia)

今回の落札にあたり、PleasrDAOのメンバーであるMarianoConti氏は「スノーデン氏は、私たちが共感するサイファーパンクの精神、つまり"全ての人に透明性を"という精神を体現している」とニュースサイトDecryptoに語っています。

NFT×チャリティ、PleasureDAOについて②かぼすちゃんNFTについて(Dogecoinアイコンモデル犬)

また、6月12日にはDOGECoinのアイコンのモデルになった柴犬かぼすちゃんのNFTが同じくPleasureDAOによって1,696ETH(約4.5億円)で落札されました。

出品者のかぼすママ、佐藤敦子さんはかぼすちゃんの飼い主さんです。今回のNFT出品の理由について、インタビューで以下のように答えていらっしゃいます。

ミームのように、かぼすの画像をみんなが楽しむために使われるのであれば、それでもいいと思ってきましたが、何の許可も得ずに勝手に商品化されたりすることに対しては、ずっと嫌な気持ちがしていました。
最近では私の名前を使ってNFTを売ろうとする、詐欺行為をする人も現れ恐ろしくなりました。
私利私欲のためには、かぼすの画像を使って欲しくありません。
私自身が画像をNFTにして売り上げを寄付すれば、かぼすの画像は大きな意味を持つと思ったのです。

また、売上を寄付する先として7つ選定され、選定理由として以下を語られています。

今までのチャリティーイベントの支援金は、全て動物保護団体に寄付をしてきましたが、今回は「人間のこども」を対象に選びました。
私はずっと幼児教育の世界で働いています。
毎日子ども達に元気と笑顔をもらい、学ばせてもらっています。
世界中で苦しんでいる子どもたちが、一人でも癒やされて笑顔になってくれるのなら嬉しいと思い、この寄付先を選びました。

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スノーデンのNFTもかぼすちゃんのNFTも、「購入」したPleasureDAOが購入資金の使途を理解してサポートしており、(おそらく)「所有権」がないことも十分理解している、どちらのNFTもPleasureDAOが目指す「カルチャー的にインパクトがあるNFT」として十分すぎるほど魅力がある、というところが共通しています。

MissBitcoinマイちゃんがNonFungibleTokyoで
●仮想通貨と寄付は相性がいいと思いずっと続けてきたがなかなかうまくいかなかった
●NFTを通す形であればみんな寄付をしてくれる。NFT×チャリティはとても相性がよく可能性を感じている
と言っていました。
ただ寄付をすることよりもNFTの対価が寄付に使われる方が寄付することの心理的ハードルが下がる、というのは実感としても理解でき、ゲーム内アイテム等と並んでNFTの活用の可能性を感じました。

まだまだ魔界なNFTワールドの課題

ブロックチェーン界隈で流行っているものはとりあえずやってみるというポリシーで生きているので(違法なものは除く)、わたしもRaribleでかわいいNFTを集めています。
4月にVR上で開催されたCrypto Art Fesにはせきぐちあいみさんの超かっこいい作品含めDigital Artが多く展示されており、そのうちの多くはNFTマーケットプレイスで「買う」ことができました。
こんな感じ↓でバーチャル空間を歩き回って展示されている作品を見れます。

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金光が初めて買ったNFTはCrypto Art Fesで展示されていたネコのKikiのNFTです。ここ↓やOpeanseaでEdition3のOwnerとして「midoli.knmt」が書いてあるのが見れます。

しかしその後はかわいいNFTを見つけAuctionで入札してHighestBidになったはずなのにいつまでもAutcionが終わらず誰もOwnerにならなかったり、、、

村上隆のNFTが0.1ETHで買える!おとく!どうするか一晩考えよう、として翌朝アクセスしたら作品ページにアクセスできなくなっていたり、、、(おそらく偽物だったのですね)

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Auctionで勝ったよ!という通知がきたのに1カ月近くOwnerが変わらなかったり、、、
まだまだ多くの人が安心して楽しめる場所にはなっていないな、というのが遊んでみての感想です。
(一方でNFTを買いだすとNFTアーティストの人たちからTwitterでDMがきたり、ネコのNFTをプレゼントしてもらえたりするのはとても新しく楽しい経験でした!)

また、ライゾマティクスのNFTプラットフォームではPerfumeのNFTのオークション中です。NFTは短い動画で超かっこいいのですが、オークションにはMATICというEthereumのサイドチェーン上のトークンでの参加しかできず、世の中のPerfumeファンはこれを機に暗号資産に触っても入札までたどり着けないのではないかと心配です。

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前述のNFT×チャリティの可能性は大きいと思うものの、かぼすままは今年の確定申告大丈夫なのか気になりますし、資金の使い道をトラックできないこともAMLCFTの観点から気になります。
デジタルアートを作られているアーティストの方がマネタイズ手法を得た、という意味でのNFTも素晴らしいと思う一方、所有権にはなりえない中、買い手がお金を出して何を買ったのかは明確にする必要があるのではとも思います。

まだまだ課題が多い世界ですが、この先どのように整備され、どのような形で発展していくのか、いちユーザーとしてもいち業界の人としても楽しみです!!
(わたしはゲーマーではないのでどうしてもブロックチェーンゲームは体験できませんでした。これは社内のゲーム好きのみなさまにやってもらおう★)



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わあ!ありがとうございます!!
bitFlyer Blockchain PR/IP担当取締役。bitFlyerではHead of Treasury。 趣味は経済学と数学の高まる本を読むことと世界中のかわいい女の子を鑑賞すること。最近はメカニズムデザインやマッチング理論とブロックチェーンの関係を妄想するのが好き。