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FOND福山さんが語る戦略論-1000人に好かれるより3人に愛されるプロダクト

ちょっと前、前田ヒロさんのPodcastでFONDの福山さんが戦略を語る回44分を友人にすすめられて聞いたところ、名言の宝庫でした。


わたしは会社の戦略は創業者が決めれば良い派で自分はその中でエグゼキューションしてるのがhappyなタイプなので、普段はあまり「戦略論」とか読みません。でもこのPodcastでは、わたしがこの会社に来てからの経験で得た知識/体感がすごく言語化されており、福山さんも「数え切れないくらい失敗してきた」と繰り返し実感を込めておっしゃっており、うーこれ早く教えてほしかったよー的な内容が多いので、特にためになった箇所7個を以下にまとめました。(Podcast全部聞いてほしいですが44分は長いですしね!)

ちなみにFONDの福山さんとは、


2010年慶応義塾大学法学部を卒業後、シンガポールでシステムエンジニアとして働く。11年片道切符を片手に渡米、起業準備。12年Yコンビネーターに参加。エニーパーク(現FOND)を起業。13年福利厚生代行サービスを開始。16年リワードサービスを開始。17年社名をFONDに変更


という方で、
・日本では馴染みのある「福利厚生」という領域で、米国トップシェアのサービスを生み出した
・「Dropbox」や「Airbnb」といった有名IT企業を輩出した米国のベンチャーキャピタル「Y Combinator」を卒業した初の日本人
ということで有名ですね。以下2018年の日経新聞のインタビューです。

では以下項目を7個に絞った簡単なまとめです。全文をnoteにされている方も発見したので、そのnoteのリンクも最後に置いておきます!

(1)1000人に好かれるよりも3人に愛されるプロダクト

お客様の抱える課題が大きいければ大きいほど解決したときに感謝される度合いが大きい。感謝に比例して単価は上がり解約率は下がる。成長率しか見ないと1000人に好かれる製品になってしまい単価も低くて解約率も下がらないという状況になってしまう。
エクセルで数字だけ見て社員を通じての間接的なフィードバックからしか聞いていないと結局どこに本当の課題が潜んでいるかわからない。トップが顧客と会って話し続けて質問し続けるのは大事。

【個人的実感】元スマニュー西口さんのN1分析とも近い考え方ですね。ToBのプロダクトはもちろん、ToCのプロダクトにも言えると思います。例えば「bitFlyer Lightning」はトレーダーである加納さんが自分がほしい機能を搭載して1ピクセルまでこだわって自分が愛せるように作っているので、結果多くの人に愛されるプロダクトになったと思っています。

(2)会社の成長にとってインパクトが大きい順に市場、製品、戦略、戦術。戦術の最適化から入ってしまうのは危険

あんまりいけてない市場にいて刺さってないプロダクトを作っててそもそも戦略が外れていたら10を12にしても意味ない。お客様にささってないプロダクトを作ってるのにeメールを送る時間を最適化してもあんまり意味ない。

【個人的実感】これは耳が痛い人も多いのでは・・・。戦術の最適化ってnumericalにすぐに結果が出るのでそっちに走ってしまいがちですよね。(とはいえ現場の執行部隊としては戦術の最適化をするしかない)
わたしが新卒で入った外資系証券会社は市場、製品、戦略レベルでトップが容赦なく「変える」ことができるのが強みだなと外から見ていて思います。
※もちろん変えたことで失敗もするんですが、そのときも容赦なく撤退します。

(3)お客様に選ばれる企業は①圧倒的にプロダクトがいい(例:Apple)、②オペレーショナルエクセレンスがある(例:QBハウス)、③カスタマーインティマシーが優れている(例:スタバ)のどれか、または組み合わせ

自分たちの製品をなぜお客様が選んでくれるのか、から考えてそれと自社がどうなりたいか合わせて戦略を作ると必然的に、どんなマーケットを狙って、どんな人を雇って、どんなマーケティングをして、というのが定まってくる。(みんな「プロダクトが圧倒的にイケている」Appleになりたがるけど競合対比の優位性もよく考えようね)

【個人的実感】中の人のTwitterやいわゆるD2Cのコミュニケーションはカスタマーインティマシー力を上げるのに有効なんだな!思いました。SHARPの中の人から始まり、当社のYUZOさんもそうですし、中の人と話せるって楽しいですよね。カスタマーインティマシーがプロダクトエクセレンス、オペレーショナルエクセレンスに並ぶほどの要素として捉えられているところが今っぽいです。

(4)方向性を設定すること、伝えること、浸透させることはトップの仕事

例えばお客様が大企業なのかSMB(中小企業)なのかを決めるときにボトムアップで決めると大企業担当している人とSMB担当している人の意見は当然食い違う。どちらをターゲットにするかはトップが決めないといけない。
方向性を設定した後には毎週の全体会議とかポスターでもなんでもいいから伝えまくるのが大事。その上で仕組みに落とすのが重要。採用面接の時のチェックポイントに入れたり、意思決定ミーティングでも方向性に合致しているのかを必ずメンバーに聞いたりする。
大企業のお客様が大事、と決まったら売上目標を短期的にミスっても大企業のお客様を獲得する方が評価されたり、SMBのお客様はむしろ入ってこないようにする方が良いとするなども明確化する。
会社にとって最も重要なことを社員にランダムに聞いて8割以上の人が同じ回答をする状態になることが大事。

【個人的実感】言うのは簡単、でも何かをやらない決断はとてもハード。目の前にお客様がいたらやっぱり自社のプロダクトを使ってほしいし、ちょっとでもopportunityあったらやってみたいじゃないですか・・・。

(5)みんな限られた人生で何かを達成したい。そういう人に刺さるミッションを会社が持っているか

人生限られた中でどんなことを達成したくて、それと近いミッションを持っている会社はどこか、という観点で仕事を探している人もアメリカでは増えている。社員や辞めた人からのクチコミも今は隠せないので、外に対して言っていることと実行していることが統一されていることも大事。

【個人的実感】最近お話しした日本のベンチャー界の偉人が「転職する人はストーリーを求めている」と仰ってたことにも通じます。曰くなぜここで働きたいと思ったか、自分はその会社で何を成し遂げたいのかをその人の家族に語ってもらえることが大事、とのこと。ミッションが口先だけのことになっていたらすぐバレるよ、というのはベンホロのWho You Areでも語られていましたね。

(6)そのインダストリーについて1日1個、30日連続でブログ書けるか、月曜日の朝にまた会いたい仲間を集められるか

事業を続けていく上で、経営者が飽きないことが大事。30日連続で1日1個ブログが書けるか。30日連続は結構大変なので相当パッション持っている業界じゃないとできない。1つの指標として有効。
また、自分の中でどんな人と働きたいかを決めて、それに合致しない人はどれだけスキルセットが高くても採用しない。そうするとカルチャーは強くなっていく。月曜日の朝にまた会いたい仲間と働けているかも経営者のメンタルを保つ上でとても大事。

【個人的実感】「カルチャーが合わない人はスキルセットが高くても採用しない」、というのは転職した当初はなにそのめっちゃ偉そうな態度、と思ったものですが、ベンチャーが戦っていく上では本当に大事だということを学びました。「カルチャーフィット」の重要性はそれまで強固な企業文化の恩恵を受けてきた人ほど無自覚で気づきにくいんですよね。
経営者が飽きないか、はブログもですがTwitterの発信とか見ててもわかりますよね。

(7)10個市場があったときに一番刺さる市場を見つけて(定義して)独占する、それをドミノのように作っていくのが大きな市場を独占するステップ

例えば病院でシカゴの大企業、となると20社しかない。そのうち10社に使ってもらうと11−12社目の営業をするとき楽。それでシカゴを独占して隣の町に入る、というのが戦略性のある攻め方。
相対的には小さい市場を独占する方が難易度が低いのでそれを積み重ねた方がトータルの難易度が低い。

【個人的実感】freeeが「今年IPOした設立〇年以下の会社のうち〇社が会計システムでfreeeを使っています」と言っているのを思い出しましたが、前職証券会社でも1位に見えるリーグテーブル(順位表のようなもの)を作る、というのは定番の仕事でした。独占できるマーケットを定義して攻略してそれを武器に近い市場に攻め込む、というのは実は定番のそして有効な戦略だなあと思います。

書き起こしバージョンはこちらから!SaaS的な内容ももっと話されているので、SaaSな方はぜひ全文を読んでいただきたいです。

「戦いを略すと書いて戦略」というのはよく言われるところですが、福山さんのお話を聞くと改めてその意味を実感します。

ベンチャーキャピタルの方のこういう情報発信はすごくためになるので、今後もテクニカルな内容含めてぜひやってほしいです。日本のベンチャー界隈は人に聞かないとわからないことがまだまだ多く、暗黙知の共有が必要だと感じています。

最後に、「ブロックチェーンで世界を簡単に。」をミッションとする当社、bitFlyer Blockchainは以下の通り採用中ですので、一緒に世界を簡単にしたい方ぜひご連絡ください✨


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