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コンサルティング事業を開始しました!

bitFlyer Blockchain にて Project Manager 兼 Consultant を担当している市薗 (Ichizono) です。

当社では、2020年1月より「ブロックチェーン技術の活用を軸に新規事業の創出や業務改革などをお考えの法人企業様に対するコンサルティングサービス」を事業として立ち上げ、4月より正式にサービスのご提供を開始しましたので、そのご案内をさせていただきます!

当社 bitFlyer Blockchan は、2019年7月に bitFlyer からブロックチェーン事業を分社化する形で設立され、これまで下図1~4のセグメントにて事業を展開してきました。
ここに新たに5つ目のセグメントとして 「Consulting Service 」 を追加した形となります。

セグメント_new

当社はブロックチェーン技術の活用を前提としたスタートアップになるため、テクノロジーに関するコンサルティングサービスを想起されるかもしれませんが、このサービスは「事業 = ビジネス」にフォーカスしたコンサルティングサービスとなります。

もちろん、テクノロジーコンサルティング自体もご提供しているのですが、現在お付き合いがある法人企業様からは「ブロックチェーン技術を活用して、新たなビジネスモデルの構築や業務革新を実現したい」といったビジネス視点のご相談が多数を占めている状況です。

この状況は暗に以下を示唆しているようにも見えていて、新しい時代や社会の形の具現化に挑戦している当社としては、そのご相談に積極的にお応えすることでクライアントのビジネス成功に、ひいては「ブロックチェーンで世界を簡単に。」の実現に貢献できないかと考えています。

技術革新のスピードが速く、テクノロジーがビジネスを主導する「 x tech (cross tech)」の時代においては、 (旧来の時代と比較して) 相対的に新規ビジネスを創出できる機会は増えているが、これまでにない技術概念であることや、NEEDSベースではなくSEEDSベースでビジネスの検討が始まることなどから、その難易度は相対的に高い

今回の note では、当社がどのような内容に取り組んでいるかをお伝えするために、まずは法人企業様からのご相談事例 (取り組みテーマ) を、その上で、事業開始の背景とサービスの概要をご紹介させていただきます。

1.法人企業様からご相談いただく直近のテーマ

2016年に当社が独自開発したブロックチェーンプロダクト「miyabi」をローンチして以降、机上検討も含め取り組んできたテーマは多岐に渡りますが、直近1年程度で見た場合、法人企業様とよく議論させていただいているテーマ、プロジェクトとして取り組んでいるテーマは下図の通りとなります。

主要テーマ

※STO:Security Token Offering、IEO:Initial Exchange Offering

特に、足元で言うと、STO、データビジネス、個人主権型ID についてお話をさせていただく機会が多く、それぞれ以下のような議論をしています。

■ STO について:

STO プラットフォームの構築をお考えの法人企業様、ST 発行を通じて既存アセットのオフバランス化をお考えの法人企業様 (発行体候補となる法人企業様) の双方と会話をさせてただいていますが、金商法の改正に向けた法制度面の論点や ST 化するメリットがあるのかどうか?、ST が市場に浸透するまでの時間軸を考えた時に、どのようなロードマップで展開していくべきなのか?、などが議論のテーマとなっています。

■ データビジネスについて:

サービス利用登録時の KYC (本人確認) 結果が問題ないことの証明やある個人が毎月きちんと家賃を支払っていることの証明をブロックチェーンに登録することで、その個人の信用力を表現し、これまでにないサービス連携や送客などを実現できないか?、ギグワーカーが家やオフィスを借りる時の審査に活用できないか?、シェアリングエコノミーにおける借手と貸手間の安心・安全なマッチングに活用できないか?、といった「信用」を軸とした議論に及ぶことが多いです。

■ 個人主権型ID について:

リクナビ問題、個人情報保護法改正や GDPR などを踏まえた時に、今後のデータを活用したサービスはどのようにあるべきか?、企業がデータのコントロール権を持つのではなく、個人が自分自身のデータに対するコントロール権を持つべきではないか?、ブロックチェーンベースの ID により、これまでの中央集権型ID ではなく分散型ID を実現できないか?、などが議論のテーマとなっています。

※ STO、データビジネス、個人主権型ID は、1つ1つがかなり壮大なテーマとなるため、次回以降の note で概要などをご紹介させていただきます。

当社は仮想通貨交換業以外の事業として、2014年からブロックチェーン事業を運営していますが、これまでの取り組みの中で培った知見や経験を踏まえて、上図のような論点はブロックチェーンだからこそ解決できるものと考えています。また、これらを解決した際には、これまでにない価値を社会に対して提供できるとも考えていますので、もし、上図のようなテーマについて、ご関心やお悩みをお持ちであれば、ぜひお気軽にご連絡ください。

もちろん、上図以外のテーマであっても、ご相談をいただければ検討させていただきますし、技術レイヤーを包含したご相談もお受けしております。

なお、技術レイヤーを包含したご相談事例としては、ブロックチェーンでこのようなデジタルアセットを実現したい、NFT (Non-Fangible-Token) をサービスに応用したい、といった内容が直近のよくあるご相談となります。

当社では、ビジネス・テクノロジー含め、上記のような論点とこれまで向き合ってきましたが、コンサルティングサービスの開始に至った背景やコンサルティングサービスの概要についてもご説明させていただきます。

2.コンサルティング事業開始の背景

事業開始に至った主要背景を2点ほどご説明します。

(1) 内部環境:組織ケイパビリティの視点 (知見・経験、人材)

ブロックチェーン事業自体は、ブロックチェーンプロダクト 「miyabi」 の前身となる「chainTree」の開発を開始した2014年時点から、分社化される2019年6月までの間も bitFlyer 内で展開していたため、(仮想通貨交換業ではない) ブロックチェーンに関する事業活動は今年で7年目になります。

ブロックチェーン事業を開始して以降、お陰様で法人企業様よりブロックチェーン活用に向けたご相談を多数いただいており、これまで様々なブロックチェーン関連プロジェクトの推進や法人企業様とブロックチェーン活用に向けたディスカッションを積み重ねてきました。

銀行・保険などの金融機関、製造関連事業者、流通関連事業者、不動産事業者、通信事業者、メディア事業者、エンタテインメント事業者、総合商社、コンサルティングファーム、中央省庁など、その業界は多岐に渡ります。

2019年まではコンサルティング事業の前身となる活動を「ビジネスプロデュース = 事業構想策定や事業企画支援」と位置づけ、miyabi 導入プロジェクトの上流工程として展開してきました。

これまで多数の PoC や 商用化プロジェクトを推進してきたわけですが、「ブロックチェーンを活用する意義 = Why Blockchain ?」へのアプローチ含め、事業やサービスを新規創出するという観点で得られた知見や経験は、今後の法人企業様における事業活動にも有意義であり、貢献できると考えた点が、コンサルティング事業を立ち上げた大きな理由の1つとなります。

また、ハイレベル人材が当社に集まり、事業構想策定から技術提供までをワンストップでご提供できる体制が整ったという点も後押ししています。

金融分野のビジネスやシステムに関する知見、大手コンサルティングファームにおける戦略策定や様々なインダストリーやサービスラインに関する知見、ブロックチェーン技術だけでなくシステム開発技術全般に関する知見、Relational Database などのミドルウェア領域に関する知見などなど、その分野にスペシャリティーを持つメンバーがビジネスフェーズからプロジェクトをご支援し、クライアントのビジネスに貢献します。

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(2) 外部環境:ニーズの視点

もう1つの背景に、ブロックチェーン業界におけるトレンドの変化があります。2016年以降から現在まで、ブロックチェーン対する法人企業様のニーズがどのように変化してきたかを目の当たりにしてきました。

■ 2016年~2018年上期:「とりあえず PoC 」 の多発期
仮想通貨の盛り上がりも後押しする形で、「ブロックチェーンで何かできないか?」、「PoCをお願いできないか?」といったご相談を多数いただいたフェーズになります。このフェーズでは、ビジネスニーズや事業課題起点ではなく、ブロックチェーンを使うこと自体に目的が置かれていて、ブロックチェーンを使う意義 = Why Blockchain ? まではしっかりと考えられていない案件が多かったように思います。

■ 2018年下期~2019年: 長期展望での戦略的取り組みへの移行期
2018年上期までの PoC で、とりあえず PoC はやってみたものの「プロジェクトを商用化フェーズにシフトするまでの判断は現時点でできない」、「Relational Database でもよいのではないか?」といった結論になり、2018年下期は PoC が急激に減少した (PoC のまま収束した) 時期でした。
一方で、少数ではありますが、中長期的な戦略として、段階的にブロックチェーン活用のスキームやスコープを広げていくことを前提とした案件や既存の重厚長大な産業構造をディスラプトすべくブロックチェーンを担いで勇猛果敢に踏み込んでいく案件が発生しはじめたフェーズでもあります。

2018年を境に (特に2019年以降はその傾向が顕著ですが)、国内ブロックチェーン業界のトレンドが転換したと思われ、数自体はまだまだ少ないもののブロックチェーンのメリットを活用した事業構想や企画に関するご相談をいただくケースが増加しています。

では、2020年以降はどうなるのでしょうか?

■ 2020年~:金融・非金融問わず初期の商用サービス出現期 (当社予測)
現状の市況感を踏まえた上での予測でしかないですが、2020年は金融・非金融問わず商用サービスが少しずつ世の中に登場しはじめ、このことがきっかけとなり、ブロックチェーンの活用を軸にした事業に本気で取り組む企業が増加してくるのではないかと考えています。そして、3~5年ぐらいのスパンで、Gartner 社が言うところの「生産性の安定期」に到達するメジャーなサービスや社会的仕組みが登場するのではないかとも考えています。

ハイプサイクル

また、各調査機関が出している「ブロックチェーンの市場予測」では、調査機関ごとに予測にばらつきはあるものの、国内・海外ともに2020年以降の CAGR (年平均成長率) は 60-100% のレンジで成長すると予測されています。

このような実体験と社内外の予測から、事業構想策定、事業企画・戦略策定といったフェーズの重要性や外部支援の必要性も今後より一層高まっていくであろうと考えている点が、コンサルティング事業を立ち上げたもう1つの大きな理由となります。

3.当社コンサルティングサービスの概要

ブロックチェーン活用を軸に「新規事業の創出」や「業務革新」をお考えの法人企業様に対して、以下のご支援を行うサービスとなります。

事業構想の策定 (事業スキームやビジネスモデルの導出など)
事業企画 (事業戦略や各機能戦略の策定、サービスや業務の企画など)
事業計画策定 (事業ロードマップや収益計画の策定など)
事業設計と開発 (アライアンスや業務・システムのデザインなど)
プロジェクトの組成や推進・管理
システム開発の推進と工程管理 (※)

※ ブロックチェーンを活用したシステムの開発自体も当社にて対応可能です。当社のコンサルタントは、システム開発プロジェクトの計画策定、システム化方針の策定、システム要件定義をクライアントと調整しながら進めます。設計・開発フェーズ以降においては、エンジニアや外部の開発パートナーと調整・協力し、開発工程管理を行いながらローンチを目指します。

戦略から実行までを支援するコンサルティングファームのサービスメニューを「ブロックチェーン × 事業」の領域に特化して提供する、といったイメージです。もう少し体系的に整理すると、インダストリーライン (下図の横軸) は限定しておらず、サービスライン (下図の縦軸) をブロックチェーンに特化させた形で事業創出に係るプロセス全体をご支援させていただきます。

サービスライン

アプローチとしては、経営環境、事業概要やその課題、競争優位の源泉、保有データなどをヒアリングさせていただくところから始まります。

なぜブロックチェーンの活用を考えているのか、ブロックチェーンの活用によりどのようなビジョンを実現したいのか、その活動を実行しなかった場合にどのようなホラーストーリーに陥る可能性があるのかなどもディスカッションさせていただき、当社の知見や事例なども踏まえて、クライアントと一緒にブロックチェーン活用を前提とした事業構想を作り上げていくイメージです。

また、事業構想自体に実行可能性がないと絵に描いた餅となりますので、クライアントの社内外ステークホルダーへのヒアリングや調整も含めたフィージビリティススタディなども行い、ケースによってはアライアンスを前提とした他社との交渉などもご一緒に推進させてただきます。

なお、これまでのご支援では、新規事業としてサービスを企画・開発するケースが多いのですが、サービスの提供価値は何か、類似サービスとの競争優位性は何か、営業・販売・マーケティングの各機能戦略をどのようにするか、サービスの UI / UX をどのようにするか、なども企画・計画し、ローンチまでの道のりを1つ1つ定義した上で実行に移していきます。

計画の実行に関しては、ビジネス系プロジェクト、システム系プロジェクトを問わず、関係者との調整やスケジュールやコストなどの管理に長けているコンサルタントが在籍していますので、プロジェクトの実行管理を全面的にご支援させていただくことも可能です。クライアントと一緒に走りながらハンズオン的にマイルストーンやローンチの達成を目指し、アウトプットを着実に積み上げていきます。

アウトプットのイメージまでとなりますが、例えば、事業企画では以下のようなイメージの資料を作成しながら調整を進めます。マテリアル類はフェーズ・論点・ご要望などに応じて適切なものを作成し、関係者間のスムーズな認識合わせや意思決定を促しつつ、プロジェクトを推進していきます。

事例1

事例2

事例3

事例4

最後に、当社のコンサルティングサービスとして特筆すべき点がありますので、2点ほどお伝えします。

■ ブロックチェーンプロダクト「miyabi」の利用は前提としていない:

当社のコンサルティングサービスでは、「miyabi」の利用は前提としておらず 、純粋にブロックチェーンで「事業」を考えるといった点にフォーカスしたご支援としています。

ただ、「miyabi」を持っていること自体は当社の強みです。独自でブロックチェーンプロダクトを開発し、それを使ってサービスの開発や運用を行った経験がある、そして、そこから得られた知見があるからこそ、事業構想策定や事業企画を進める上でブロックチェーン活用のノウハウをベースとした検討が可能となります。

また、クライアントのご要望等で「miyabi」の利用を前提とするケースにおいては、これまで蓄積してきたアプリケーションの設計パターン・実装パターンがあるからこそ、合理的な開発計画の立案が可能となりますし、企画した内容の実現性も相対的に高めることができると考えています。

■ 仮想通貨交換業で得られたノウハウの展開が可能:

仮想通貨交換業とブロックチェーン事業には多大なシナジーがあります。

仮想通貨交換業を運営する中で得られる Bitcoin や Ethereum などの Public chain に関する技術的知識や実装ノウハウはもちろんですが、デジタルアセットを取扱い、サービスとして顧客に提供する際に考えるべき論点は、STO や IEO の事業・サービスを考える上でも役立ちます。

bitFlyer は金融機関として資金決済法と向き合い、各種管理態勢の強化に尽力してきました。例えば、KYC (本人確認) 、仮想通貨の分別管理、秘密鍵の管理、Cold Wallet / Hot Wallet 管理などですが、これらの点は新たにデジタルアセットを考える上でも通じる部分があると考えています。

また、マネーロンダリング対策を推進する政府間機関 FATF (金融活動作業部会) が仮想通貨交換業者に対して「トラベル・ルール」の対応を求めていますが、新たにデジタルアセットを考える上では、マネーロンダリングの観点も考慮する必要があるかもしれません。

ブロックチェーンの活用を軸に事業を考える際には、Big Picture を描き、こんな世界を実現したいというビジョンに向けてプロジェクトを推進しますが、しばしば足元には法規制などの現実 (課題) が立ちはだかります。

例えば、データビジネスでデータの提供を考える際には個人情報保護法、Token Economy の出口戦略を考える時には資金移動業 (資金決済法) 、権利管理でコンテンツの流通を考える際には著作権法など、STO / IEO 以外のテーマであっても何かしらの法規制に関する論点が発生します。

現状、技術が既存のルールを1歩2歩どころか10歩ぐらい置き去りにして進んでいる状況で、「仮想通貨」はその最たる例だと思います。

仮想通貨交換業を運営する中で得られた管理態勢のあり方 (法規制対応) のノウハウや技術と法規制の間に立たされている事業者としてのアプローチのあり方は、クライアントをご支援する際に1つの強みになると考えていますので、その点もお伝えさせていただきます。


さて、長くなってしまいましたが、当社のコンサルティングサービスにご興味を持っていただき、一度話を聞いてみたいなどございましたら、以下のお問い合わせよりご連絡いただけると嬉しいです。「これはブロックチェーンを活用する意味があるかないか不明だが、まずは相談してみたい」といったご相談でもかまいませんので、ぜひお気軽にご連絡ください!

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
皆様からのご連絡をお待ちしております!

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